小笠原諸島への行き方は船一択?飛行機計画の現在と24時間船旅の真実

目次
小笠原諸島への行き方は船一択?飛行機計画の現在と24時間船旅の真実
小笠原諸島への行き方は船一択?飛行機計画の現在と24時間船旅の真実
@ creator • Click to Play Video Inline
🎵 小笠原諸島への行き方は船一択?飛行機計画の現在と24時間船旅の真実

東京から南へ約1,000km、太平洋上に浮かぶ世界自然遺産の島々・小笠原諸島。独自の生態系が育まれ「東洋のガラパゴス」と称されるこの楽園へ旅立つ際、多くの旅行者が直面するのが「交通手段」の圧倒的な特殊性です。2026年現在も定期航空路は開設されておらず、一般の観光客が島へ渡る手段は、東京・港区の竹芝桟橋から出航する定期船「おがさわら丸」による片道24時間の船旅しかありません。

なぜ国内屈指の知名度を誇る観光地でありながら、半世紀以上も飛行機が飛ばないのか。長年議論が続く空港建設計画の真相から、24時間を要する航路の実態、予約激戦を制するテクニック、母島への接続ルート、渡航にかかるリアルな総費用まで、徹底取材と最新データをもとにその全貌を解き明かします。

📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
  • 要点1:一般旅客のアクセスは「おがさわら丸」の船便一択であり、航空路開設は自然環境保護や採算性の壁に阻まれ2026年現在も実現の目処は立っていない。
  • 要点2:東京・竹芝桟橋から父島までは片道24時間。運航ダイヤ上「船中2泊+島内3泊」の最低6日間が必要となり、繁忙期の予約争奪戦は熾烈を極める。
  • 要点3:旅行費用は往復船賃・宿泊・現地ツアーを含め大人1人あたり最低12万〜20万円が相場。母島へ向かう場合は「ははじま丸」への乗り継ぎが必須。

【航空路の真相】小笠原諸島への行き方は本当に船一択?飛行機計画の現在地

小笠原 諸島 行き方の関連写真・ビジュアル
【画像】小笠原 諸島 行き方 関連ショット

「小笠原へ行くには、本当に船に乗るしかないのか?」「ヘリコプターや水上飛行機は飛んでいないのか?」という疑問は、初めて小笠原を検討する旅行者が必ず抱く疑問です。結論から言えば、2026年現在も一般人が利用できる航空路は民間・定期便ともに存在せず、船一択という状況は揺らいでいません。

急患の搬送など生命の危機に関わる緊急医療搬送においてのみ、海上自衛隊の救難飛行艇「US-2」や海上保安庁の航空機が出動しますが、これは自衛隊基地のある硫黄島や父島沖を経由する特殊任務であり、観光客や一般住民が日常的に利用できる手段ではありません。

半世紀にわたる空港誘致の歴史と頓挫の理由

小笠原 諸島 行き方の様子・注目ショット
【写真】小笠原 諸島 行き方 近影・注目カット

小笠原諸島への空港建設構想は、1968年の本土復帰直後から半世紀以上にわたり幾度となく議論されてきました。過去には父島の「洲崎地区」、隣の「兄島」、さらには海を埋め立てる「浅海案」など、複数の候補地で滑走路建設が検討された経緯があります。しかし、計画はいずれも白紙撤回、あるいは事実上の凍結状態に陥っています。その理由は主に3つ存在します。

  • 世界自然遺産の環境保全:2011年にユネスコ世界自然遺産へ登録された小笠原諸島は、独自の進化を遂げた固有種植物や陸産貝類(カタツムリなど)の宝庫です。兄島空港案では貴重な固有生態系の破壊が不可避と判断され、自然保護団体や国際機関からの強い反対を受けました。
  • 地形的・気象的な制約:父島・母島ともに急峻な山が海に迫る地形であり、1,200〜1,500m級の滑走路を整備できる平地が極めて限られています。加えて、小笠原特有の強風・横風が安全運航の大きな障壁となります。
  • 巨額の建設費と運用採算性:試算される数百億円から千億円規模のインフラ投資に対し、就航可能な座席数の少ない小型機では運賃が高騰し、運航採算が合わないという構造的赤字リスクが指摘され続けています。

2026年現在の小笠原諸島飛行機計画の現在

小笠原 諸島 行き方の報道・詳細資料
【資料】小笠原 諸島 行き方 報道・メディア記録

近年では、東京都および国土交通省の協議会において、固定翼機ではなく「ティルトローター機(民間版オスプレイなど)」や、海面に着水する「水上飛行機」を活用した小規模アクセス路の検討が続けられています。しかし、民間仕様機の開発状況、悪天候時の就航率、運賃設定(試算では片道10万円超)、騒音問題など課題は山積しており、商業運航の開始時期に関する具体的なロードマップは依然として描かれていません。近い将来に航空機でサクッと小笠原を訪れる未来を期待するのは、現段階では非現実的です。

【父島行き方フェリーの鉄則】竹芝桟橋アクセスから所要時間24時間の航海ルート

小笠原諸島への唯一の玄関口となるのが、東京都港区にある「竹芝客船ターミナル(竹芝桟橋)」です。島行きの定期船「おがさわら丸」は、ここから父島の二見港を目指して出航します。

竹芝桟橋へのアクセスと集合スケジュール

竹芝客船ターミナルへの主要なアクセスルートは以下の通りです。新幹線や飛行機で東京へ遠征してくる地方在住者は、乗り継ぎ時間に十分な余裕を持つ必要があります。

  • ゆりかもめ:「竹芝駅」直結(徒歩約1分)
  • JR山手線・京浜東北線:「浜松町駅」北口より徒歩約7〜8分
  • 都営地下鉄浅草線・大江戸線:「大門駅」B1・B2出口より徒歩約10分
  • 羽田空港からのルート:東京モノレールで「浜松町駅」まで約20分、そこから徒歩移動が最短

通常ダイヤにおける「おがさわら丸」の出航時刻は午前11時00分です。乗船手続きや手荷物預け入れは出航の約1時間半前から始まり、出航30分前(10時30分)には搭乗口が締め切られます。午前9時30分〜10時00分までにはターミナルに到着しておくのが鉄則です。

所要時間24時間の航海ルートと小笠原海運運航スケジュール

竹芝を出航した船は、レインボーブリッジをくぐり、東京湾を南下。房総半島や三浦半島を抜けて伊豆諸島(大島、三宅島、八丈島など)の東沖を航行し、翌朝の午前11時00分に父島・二見港へと接岸します。片道の所要時間はちょうど24時間、航行距離は約1,000kmに及びます。

運航を手掛ける小笠原海運のスケジュールは、原則として「6日に1便」のローテーションで組まれています。

  • 1日目:午前11:00 東京・竹芝出航(船中泊)
  • 2日目:午前11:00 父島・二見港到着(島内宿泊)
  • 3日目:島内滞在(島内宿泊)
  • 4日目:島内滞在(島内宿泊)
  • 5日目:午後15:00 父島出航(船中泊)
  • 6日目:午後15:00 東京・竹芝帰着

つまり、小笠原へ行くということは、必然的に「最短でも船中2泊+島内3泊の合計5泊6日」の休暇を確保することを意味します。ゴールデンウィークや7〜8月の最盛期には、父島に到着した船がその日のうちに東京へ折り返す「着発運航(ちゃくはつうんこう)」が実施され、便数が増加しますが、それでも1回あたりの旅程が長大である点に変わりはありません。

【客室等級と運賃相場】おがさわら丸船内客室等級と小笠原諸島旅行費用の全貌

現在就航している「おがさわら丸」は2016年に就航した3代目であり、総トン数11,035トン、旅客定員892名を誇る大型貨客船です。船内はホテル並みに清潔で、全6種類の客室等級が用意されています。

おがさわら丸船内客室等級の特徴

  • 特等室(スイート):最上階に位置するツインルーム。専用バス・トイレ、プライベートバルコニー、大型液晶テレビを備えた豪華仕様。
  • 特1等室(デラックス):落ち着いたツインルーム。バス・トイレ、窓があり、ホテルの客室と変わらない快適性。
  • 1等室(スタンダード):2段ベッドまたはツイン仕様。窓付きで洗面台・テレビを備え、静かに過ごしたい夫婦やグループに人気。
  • 特2等寝台(プレミアムベッド):階段式2段ベッド構造。各ベッドにテレビ、コンセント、読書灯、遮光カーテンがあり、カプセルホテルのような高いプライベート感。旅慣れた個人旅行者から最もコスパが良いと支持される人気等級です。
  • 2等寝台(エコノミーベッド):上下2段ベッドが並ぶ大部屋構造。プライベートカーテンとコンセントを完備。
  • 2等和室(エコノミーカーペット):カーペット敷きの大部屋に決められた区画(約1人畳1畳分)で雑魚寝する最もリーズナブルな客室。キルティングマットと枕、毛布が支給されます。

小笠原諸島旅行費用の内訳とデータ比較

渡航にかかる総予算はどれくらいになるのか。燃料油価格変動調整金(燃料サーチャージ)の動向やシーズンによって変動しますが、大人1名あたりの標準的な支出データを一覧化しました。

項目詳細・数値データ(2026年目安)一般的な基準・相場編集部の見解・評価
おがさわら丸往復船賃
(2等和室〜2等寝台)
往復 約65,000円 〜 85,000円
(片道約3.2万〜4.2万円×2)
国内長距離フェリー最上位水準
(時期・燃料費連動で変動)
最安構成でも7万円前後は必須。移動費だけで国内旅行としては高額だが、距離と時間を考えれば妥当。
おがさわら丸往復船賃
(特2等寝台)
往復 約85,000円 〜 110,000円
(片道約4.2万〜5.5万円×2)
中級ビジホ+長距離移動と同等快適性とプライバシーのバランスが最良。24時間をストレスなく過ごすための最適解。
おがさわら丸往復船賃
(1等・特等クラス)
往復 約140,000円 〜 260,000円
(片道約7.0万〜13.0万円×2)
国際線ビジネスクラス並み記念旅行やシニア富裕層向け。部屋数が少なく最繁忙期はプラチナチケット化する。
父島島内宿泊費
(3泊分)
民宿・ペンション:24,000円 〜 45,000円
ホテル型施設:45,000円 〜 90,000円
1泊2食付き 10,000円〜25,000円外食派は素泊まりも選択肢。ただし飲食店は予約必須の店が多く、2食付き民宿が無難。
現地アクティビティ・ツアー代
(南島・ドルフィン等)
30,000円 〜 50,000円
(1日船ツアー1.5万〜2万円×2日)
沖縄離島ツアーと同等〜やや高め自然保護区(南島や森)は認定ガイドの同行が義務化されているため、ガイド代の節約は不可。
飲食・現地移動費・お土産
(原付・レンタカー等)
20,000円 〜 35,000円物価は本土の1.2〜1.4倍程度生鮮食品やガソリンは船輸送費が上乗せされるため割高。ある程度の余裕が必要。

上記を合算すると、最もスタンダードな「特2等寝台+中級民宿+主要ツアー参加」の大人1名総費用は、約15万〜20万円が標準的な予算規模となります。学生が2等和室で自炊・素泊まりを徹底しても10万〜12万円程度が下限ラインです。

【予約の裏技と争奪戦】おがさわら丸予約方法と小笠原諸島ツアー評判の実情

小笠原旅行における最大の関門は、船の予約確保です。飛行機のように便数が多くないため、旅行シーズンには激しい争奪戦が繰り広げられます。

おがさわら丸予約方法の基本ルール

個人で乗船券を手配する場合、小笠原海運の公式WEBサイトまたは電話窓口から予約します。

  • 予約受付開始時期:原則として「出航日の2ヶ月前の同日午前9:00」から一斉に発売されます(該当日がない場合は翌月1日)。
  • ゴールデンウィーク・年末年始・夏休み(7〜8月):この3大最繁忙期に関しては、2ヶ月前ルールではなく「特定の一斉発売日(毎年5月下旬〜6月上旬頃)」が設定され、夏休み期間の全便が一斉に予約開始となります。

争奪戦を勝ち抜く予約のコツと裏技

繁忙期の一斉発売日には、小笠原海運のWEBサーバーにアクセスが殺到し、数十秒で上位等級が完売することも珍しくありません。確実に座席を確保するための実践的なノウハウは以下の通りです。

  1. 事前会員登録とログイン:予約開始の9時直前にログインしようとするとセッションエラーになる確率が高いため、8時45分頃にはログインを済ませておく。
  2. 狙い目等級の絞り込み:個室(特等・特1等・1等)は部屋数が非常に少ないため、秒単位で埋まります。確保確率を上げるなら、枠数が多い「特2等寝台」または「2等寝台」を第一志望に設定するのが賢明です。
  3. キャンセル発生のサイクルを突く:発売当日に取れなくても絶望する必要はありません。予約確定後の決済期日(通常数日以内)や、出航の2週間前〜前週にかけて、仮押さえや日程変更に伴うキャンセル空席が小刻みに放出されます。毎日午前中や深夜にサイトを巡回するとポロッと空きが出ます。

個人手配 vs パッケージツアー|小笠原諸島ツアー評判のリアル

「自分で船と宿を別々に取るのが面倒」「船は取れたが宿が全滅した」というトラブルを避けるため、旅行会社のパッケージツアーを利用する人も多数存在します。

  • 小笠原海運直営ツアー「ナショナルトランク」:船会社直営のため乗船券の枠が手厚く、提携宿とセットで確保できるため最も信頼性が高いと評判です。パンフレット発送やWEB募集開始日を事前にチェックする価値があります。
  • 大手旅行会社(JTB・クラブツーリズム・読売旅行など):ガイド同行付きの添乗員同行ツアーが多く、シニア層や一人参加から「現地の手配に迷わず安心」と高く評価されています。ただし、自由行動が制限される点や、個人手配より総額が2〜4割高くなる点がデメリットです。

【母島ははじま丸乗り継ぎ】父島からさらに南へ向かう接続ルートと注意点

小笠原諸島で一般の人が定住している島は、「父島」と、そのさらに約50km南に位置する「母島」の2島だけです。母島へ直接本土から行く手段はなく、必ず父島で別の連絡船へ乗り継ぐ必要があります。

定期船「ははじま丸」のダイヤと所要時間

父島の二見港と母島の沖港(おきこう)を結ぶのは、伊豆諸島開発が運航する定期船「ははじま丸」です。

  • 所要時間:片道 約2時間
  • 旅客定員:約200名
  • 運賃相場:片道 約5,500円 〜 6,500円程度(燃料サーチャージ等で変動)
  • 接続ダイヤ:「おがさわら丸」が父島に入港する日(通常便の場合)は、おがさわら丸の到着(11:00)を待って、午後12:00〜12:30頃に母島へ向けて出航する接続ダイヤが組まれています。そのため、本土から母島まで同日中に到着することが可能です。

母島渡航で初心者が陥る2大トラップ

母島は手つかずの自然、固有種の宝庫として知られ、最高峰の乳房山(ちぶさやま)登山やハハジマメグロの観察など魅力に溢れていますが、以下の2点には厳重な警戒が必要です。

第1に、「ははじま丸」の揺れの激しさです。父島・母島間の海域は外洋の黒潮洗う難所であり、遮る陸地がありません。「おがさわら丸より揺れる」と口を揃えるリピーターが多く、船酔いしやすい人は父島到着直後に再び強力な酔い止め薬を服用しておく必要があります。

第2に、宿の絶対的な少なさです。母島には数軒の民宿しか存在せず、収容人数は島全体でも極めて限られています。「船だけ乗って現地で宿を探す」ことは絶対に不可能です。母島泊を検討する場合、母島の宿泊先を確保してから渡航計画を確定させてください。

【実態検証】利用者の生の声と現場目線で見えたリアル|24時間船旅の過酷さと魅力

ネット上の旅行記やSNSでは「一生に一度の絶景クルーズ」と称賛される一方で、知恵袋や口コミサイトには「想像を絶する退屈と船酔いで地獄を見た」という正反対のレビューも散見されます。現場目線で見た24時間航路の真実を掘り下げます。

洋上通信事情:八丈島を越えると「完全圏外」のデジタルデトックス

東京を出航して数時間は、東京湾岸や房総半島沿岸の携帯電話基地局の電波が届きます。夕方、八丈島の近海を通過する前後を最後に、大手キャリアの4G/5G電波は完全にロストします。翌朝、父島の電波を拾うまでの約12〜14時間は、洋上で携帯電話が一切使えない「完全圏外」になります。

おがさわら丸船内には衛星通信(Starlink等)を活用した公衆無線LANサービスが導入されていますが、利用時間やデータ通信量に制限があり、動画視聴や大容量通信は原則できません。現場の乗船客からは「本を3冊持ち込んで正解だった」「あらかじめ動画や音楽を端末に大量ダウンロードしておかないと退屈で気が狂いそうになる」という声が多数上がっています。

船酔いの境界線:御前崎沖・鳥島沖のうねりと「アネロン」信仰

小笠原航路の最大の難所は、東京湾を出て伊豆諸島沖へ抜ける外洋エリアと、太平洋のど真ん中を進む夜間帯です。季節を問わず太平洋特有の長周期のうねりが発生し、大型船とはいえ激しいピッチング(前後揺れ)やローリング(左右揺れ)に見舞われます。

現場の島民やヘビーリピーターの間で「乗船前の必須儀式」として共通認識になっているのが、持続性カプセル製剤の酔い止め薬(特にエスエス製薬の「アネロン「ニスキャップ」」など)の服用です。竹芝を出航する30分前に服用し、船酔いを感じる前に横になるのが定石。「酔ってから飲むのでは手遅れ」というのが現場の絶対的教訓です。

展望ラウンジとレストラン「父島」の船内グルメ事情

一方で、船内生活にはこの船でしか味わえない情緒があります。デッキに出て夕暮れ時の太平洋を眺めたり、夜間には満天の天の川を仰いだりする体験は、飛行機では絶対に味わえません。

船内のレストラン「父島」では、名物の島オクラを使ったカレーや島寿司風メニュー、本格的なステーキなどが提供されています。ただし、食事時は一斉に混雑し大行列ができるため、軽食を竹芝桟橋周辺のコンビニで買い込んで乗船する乗客も目立ちます。船内各フロアには給湯器や電子レンジ、自動販売機(定価より数十円高い程度で良心的)が整っており、カップ麺を持ち込んで夜食にするのも船旅の醍醐味です。

一般に知られていない盲点とネットの誤解|ベストシーズンと渡航判断

インターネット上の誤った情報に惑わされ、現地で後悔する旅行者が後を絶ちません。渡航前に知っておくべき盲点を整理します。

誤解1:「南国だから年中いつでも常夏で泳げる」の罠

小笠原は沖縄とほぼ同緯度に位置しますが、亜熱帯気候とはいえ明確な四季があります。12月〜3月の冬季は、北寄りの季節風が強く吹き、日中の気温が15〜18度前後まで下がる日も珍しくありません。海水温も20度前後まで低下するため、一般的な水着だけでの海水浴は不可能です(ダイビングやスノーケリングには5mm以上のフルウェットスーツが必須)。「常夏のビーチリゾート」をイメージして薄着だけで訪れると、強い風に凍えることになります。

誤解2:「船が出航すれば絶対に予定通り帰れる」のリスク

最大の落とし穴は、台風や急発達した低気圧による「延泊(島流し)」リスクです。小笠原航路は波浪基準が厳格であり、台風が直撃、あるいは進路周辺に位置する場合、船の父島発が数日間延期されるか、最悪の場合は運行サイクルが1便丸ごとスキップされます。島に閉じ込められた場合、追加の宿泊費が発生するだけでなく、翌週の仕事に致命的な影響を及ぼします。有給休暇をギリギリで組む旅程は極めて危険です。

小笠原諸島ベストシーズンの真実と目的別チャート

  • 海遊び・ドルフィンスイム最盛期(7月〜10月):「ボニンブルー」と呼ばれる濃紺の透明な海を堪能できるベストシーズン。波も比較的穏やかで水温も25度を超え、シュノーケリングに最適。ただし夏休み期間は混雑と旅費がピークに達します。
  • ザトウクジラ遭遇期(1月〜4月):出産と子育てのため多数のザトウクジラが父島・母島周辺に来航。陸上の展望台からでもブロー(潮吹き)やジャンプが視認できます。ホエールウォッチング目的なら冬が圧倒的ベストです。
  • ウミガメ産卵と新緑(5月〜6月):GW後から梅雨期(小笠原の梅雨は本州ほど雨が続かない)にかけて、ウミガメの産卵が最盛期を迎えます。観光客が少なく、旅費を抑えてのんびり過ごしたい人向けの穴場シーズンです。

【プロの結論】おすすめできる人・見送るべき人の特徴

小笠原諸島は、万人に手放しでおすすめできる観光地ではありません。旅の向き・不向きが日本一極端に分かれる旅先です。

▼ 小笠原諸島への渡航を強くおすすめできる人:

  • 往復船中を含めた「最低6日間」の連続休暇を、仕事や家庭に気兼ねなく確保できる人
  • 電波が通じない不便さや、24時間の移動そのものを非日常の冒険として楽しめる人
  • 人工的なテーマパークではなく、手つかずの自然、イルカ・クジラ・固有植物の観察に強い情熱がある人
  • 突然の台風や天候悪化による日程遅延に対し、笑って臨機応変に対応できるメンタルの余裕がある人

▼ 現段階では渡航を見送るべき人:

  • 「3連休に有休を1日足して4日で行きたい」といった短期日程しか組めない人(物理的に不可能)
  • 仕事の連絡をリアルタイムで返信し続けなければならない環境にある人
  • 極度の乗り物酔い体質で、大型船の揺れや密閉空間に強い恐怖・ストレスを感じる人
  • リゾートホテルでの至れり尽くせりなサービスや、充実したショッピング・歓楽街を旅行に求めている人

【小笠原 諸島 行き方】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:台風で船が欠航になった場合、延泊の宿泊費用やキャンセル料はどうなりますか?
A1:船の欠航による延泊費用は、全額自己負担となります(宿側が善意で連泊割引を提供してくれるケースはあります)。一方でおがさわら丸の運航が中止・欠航となった場合、船賃は無手数料で全額払い戻しされます。現地のアクティビティ会社や民宿も、船の欠航を理由とする直前キャンセルについてはキャンセル料を免除するのが通例です。旅行保険(国内旅行傷害保険の航空機・船舶遅延特約など)への事前加入を強く推奨します。

Q2:小笠原諸島へ行くのにパスポートは必要ですか?
A2:パスポートは一切不要です。小笠原諸島(父島・母島など)は完全な「東京都小笠原村」であり、日本国内です。身分証明書として運転免許証や健康保険証、マイナンバーカードがあれば問題ありません。通貨も日本円がそのまま使えます。ただし、島内の小さな売店やアクティビティガイドではクレジットカードや電子マネーが使えない現金決済のみの場面が多いため、まとまった現金を持参してください(島内にはゆうちょ銀行ATMと七島信用組合があります)。

Q3:24時間の船旅の途中、八丈島などで途中下船して観光することはできますか?
A3:途中下船は一切できません。定期船「おがさわら丸」は東京・竹芝と父島・二見港の間をノンストップで直行航行します。航路の途中で伊豆諸島の島々の近くを通過しますが、港への寄港は行いません。

Q4:現地(父島・母島)での移動手段は何を予約しておくべきですか?
A4:父島での移動は「レンタイク(50cc〜125cc原付)」または「レンタカー」がベストです。父島は周囲を巡る道路に急勾配の坂道が多く、一般的な自転車(ママチャリ)での移動は体力を消耗しすぎて現実的ではありません(電動アシスト自転車なら一部エリアは可)。村営バスも走っていますが、本数が限られます。レンタカーや原付の台数は島全体で非常に限られているため、おがさわら丸の乗船券が確保できた瞬間に現地のレンタル店へ電話予約を入れておく必要があります。

まとめ:今後の動向と失敗しないための判断基準

小笠原諸島への行き方は、2026年現在も「竹芝桟橋からおがさわら丸で24時間」という唯一無二の航路に支えられています。環境保護と莫大な採算性のハードルがある以上、今後数年以内に航空路が開通する可能性は限りなく低く、この「船旅一択」というアクセスの厳しさこそが、小笠原の類まれなる大自然と固有の文化を外部の過剰な開発から守り抜いてきた防波堤でもあります。

往復48時間の船中滞在を含めた最低6日間の旅程は、多忙な現代人にとって決して低いハードルではありません。しかし、東京湾のビル群が遠ざかり、スマホの電波が消え、視界一面が濃紺の海と無数の星に包まれる24時間のプロセスは、飛行機で数時間移動するだけの旅では決して得られない、強烈な旅情と感動を与えてくれます。

渡航を成功させる鍵は、「2ヶ月前の発売日に合わせた船室の即時確保」「島内宿泊先・レンタカーの事前予約」「余裕を持った有給休暇のスケジュール設計」の3点に尽きます。しっかりと準備を整え、洋上の大航海を経て辿り着く世界自然遺産の絶景へ、ぜひ旅立ってみてください。 (出典: 小笠原 諸島 行き方(Yahoo!ニュース))